新しい環境で挑戦してみたい、今より良い条件で働きたい。そんな思いで転職を考えたものの、具体的に何から始めていいかわからない。そんな方向けのマニュアルって意外とないものですよね。

とりあえずハローワークに行ってみよう!

転職サイトの求人を眺めていたら夜が明けた。
そんな方も多いのでは。
私自身もこれまでに作業療法士として3度の転職を経験しました。その中で、もっと早くこれを知っておけばと後悔した経験はいくつもあります。
この記事では、転職活動に必要な6つのステップを、徹底的に調べた内容と私自身の経験をもとに説明します。
転職活動はあなた自身とあなたの周りの人を幸せにできる手段のひとつ。一緒に確認していきましょう。
転職の理由をことばにすることで転職活動の道筋を作る

まず確認しておきたいのは、あなた自身のキャリアをどのように考え、これからどうしたいのかという点です。転職活動を行う上で、最も重要な過程といっても過言ではありません。
転職活動では多くの情報に触れることになります。その情報に振り回されず、より良い転職先を見つける為に以下の3点を考えてみてください。
今の気持ちを素直に表現しよう
転職の動機となっている希望や不安を明確にしましょう。具体的にはこのようなイメージです。

どんな理由だっていいんです!あなたのことを1番理解しているのはあなた!
ただ、もしも心も身体もボロボロで、今すぐにこの場を逃げ出したいと感じているのであれば、その気持ちを否定せずに受け入れてあげましょう。逃げ出したい時には迷わず行動することも重要です。
これまでの経験や得たもの(スキル)を整理しよう
過去を振り返り、これまでに経験したり、身に着けたスキルを言語化しましょう。考え方は大きく分けて以下の2つの視点があります。
私の総合病院から転職をする時の一例に挙げます。
| 作業療法士としての経験やスキル | 職場内での役割や知識 |
| 急性期と回復期での脳卒中患者の治療経験 | プリセプターとして5名の新人教育に携わった |
| がんリハビリのチームに所属していた | 緊急時対応チームに所属して、院内のインストラクターをしていた |
| NST委員会に所属し、院内患者の栄養管理に携わっていた |
作業療法士の職域は広いです。あなたの働いている分野では些細な経験かもしれないけど、分野が変わるとそれは大きな力になることも。
ここで挙がった経験やスキルは、あなたにとっての資産です。たとえ職場が変わっても失われるものではありません。これからの転職活動では、新たな資産を探しに行く「宝さがし」というマインドも重要です。
転職して得たいものを具体的にイメージしよう
先ほど感じていた希望や不安を具体的にした上で、これまで得た経験やスキルを活かしながら実現できる具体的な目標を立ててみましょう。
特に収入を基準にする場合は、やりたいことを実現する為には、どの程度の収入が必要なのかを具体的に計算しておくことをおススメします。
転職までのスケジュールを確認することで、心に余裕を作る

人は期限に追われると、選択肢が狭まり、一か八かの大勝負なんてことも少なくありません。
いつまでに内定をもらえれば、退職の手続きや業務の引継ぎを余裕をもって行うことができるかイメージしておきましょう。

転職活動を始める目安は6~8か月前
転職活動を始めるのは、遅くても6か月前からをおススメします。
2024年の傾向としては、8か月前から転職活動を始める方が増えている傾向にあり、早い人は1年前から始めている方もいるようです。
早く転職活動を始めるメリットとして、以下の内容があります。
病院や施設などが求人を出すタイミングはまちまち。9月から10月に求人数が増える傾向にありますが、できるだけ幅広い期間で求人をリサーチして、良い出会いをつかみ取りましょう。
おススメの転職時期は4月
この時期は年度の切り替えとなる時期で、あなたにとっても退職する職場にとっても転職には適した時期といえます。
転職者側のメリット
退職する職場側のメリット
転職者も職場側も新たな体制でスタートがきれる良い時期なのです!
就業規則を確認して、期限を明確にしよう
退職の意思を上司に伝える時期をあらかじめ確認して、転職の計画をたてることも重要です。
法律(民法)では2週間前までに申し出をすれば退職することは可能ですが、多くの病院や施設では、就業規則上「1~3か月前までに申し出る」などと規定されている場合があります。
この規則までに内定をもらい、次の職場が決まった状態で上司への報告ができることが理想です。
転職先の条件は優先順位で決める

数ある求人情報から選択肢を絞っていくために、転職先の条件を決めることはとても大切な作業です。ただ、ある特定の条件にこだわるあまり、他の条件を見ることなく転職を決めてしまうと、転職先で長く働くことが苦しくなってしまうことも。必ず、条件は優先順位で考えていきましょう。
視野狭窄の怖さ
職場の条件を考える時に、特定の選択肢のみに意識が向かい、それ以外の未来の可能性に頭がいかなくなる状態は危険です。ただ、転職活動ではよく起こることです。

給与は良いけど、作業療法士として成長している実感が持てないし、クライエントに貢献できている実感がない。
このような状態では、せっかく転職したものの、長く働き続けることは難しいかもしれません。
今の生活がより豊かになる選択と同時に、作業療法士としての経験やスキルという資産が積みあがることで、将来的により自由な選択枝が得られるという点も忘れないようにしましょう。
大切なのは、1つの条件に固執するのではなく、条件の優先順位を決めておくことです。
給与アップを希望するなら、相場を見極めて
転職するにあたって、給与を少しでも上げたいと思うのは自然な事だと思います。私も、同じ条件で働くのであれば、少しでも給与が高い職場で働きたいと思います。
ただ、年収アップを望めば、どこまでも高い給料を望みたくなるもの。上で述べたように転職先を考える上で、視野狭窄に陥り、転職先での仕事がつらいものになってしまうこともあります。
そうならないために以下の2点を考えてみてください。
- いくらあれば望む生活が成り立つのか、具体的に試算する。
- 転職を希望する領域の給与相場を知る

年収アップによる幸福度の上昇は平均して1年間しか続かないという研究もあるよ。
良くも悪くもその状況に慣れてしまうということですね。
より良い転職をするためには、望む生活に必要な給与をもらいながら、自分の価値観にあった職場を選ぶことが重要なんですね。
人間関係は事前情報ではわからない
人間関係はリハビリ職が転職する理由として給与、待遇に次いで3番目に多い理由です。
特定の個人や集団と気が合わないことで仕事に集中できなかったり、心が病んだりしていしまう前に、環境を変えて新たなスタートをきることは正しい判断だと思います。
ただ、意識しておいた方がよいのは、人間関係そのものや実際の職場の雰囲気を転職前に完全に把握するのは難しいということです。
もしも偏った情報を信じて、期待を持って転職した結果、現実が期待を下回れば、心理的なダメージは大きいです。その職場で仕事を続けることすらつらくなってしまうかもしれません。
大切なのは下の意識を持つことです。
条件を決めるための具体的な項目
条件を決める際には、具体的に提示できる条件や数字で表せるものを基準にするのがおススメです。その条件に優先順位をつけていきましょう。
働きたい分野
働きたい分野や対象疾患、病期など、具体的に挙げておきましょう。
作業療法士が働く分野の例

急性期の病院で、整形疾患の治療に携わりたい。
上の条件が決まったら、働く場所の選択肢は自然と絞られてきます。
業務の内容
入職後に具体的にどのような業務に携わるのかを具体的に確認しておきましょう。
1日の単位数や書類業務を行うための時間は確保されているか。また、病院や施設によっては、委員会活動やその他のチームに所属することを求められる場合もあります。
個人的には、委員会活動(緊急対応チームやNST委員会)での経験は自分のスキルアップに大きく役立ったと実感しています。どんな委員会があるのかも事前に確認しておくと良いと思います。
収入(年収)
年収がいくらになるか、下記の項目を確認しておきましょう。
上記の金額をすべて合わせてたのが年収です。今の生活を負担なく送るためには、いくらもらえれば良いのか把握しておくと良いですよ。
併せて、退職金の制度の有無についても確認しておきましょう。
職場環境
スキルアップの為の取り組みとして勉強会を実施していたり、研鑽の為にどのような取り組みを職場として実施しているのかは要チェック。
また、職員の年齢層やリハビリスタッフの人数は職場の人間関係を作る上で確認しておいた方が良い点です。
上司や同僚にどのようなスペシャリストがいるのか。要は見本となる上司はいるのかという点は事前情報である程度確認ができます。
勤務地や通勤時間
特に通勤時間は生活の質に大きく関わる部分なので、できるだけ近い場所をおススメします。
通勤時間が片道30分を超えると仕事効率が低下し、片道60分を超えるとうつ病や肥満のリスクが上昇するとの研究がされています。
私の場合、転職前は車で片道50分かかっていましたが、転職後は車で片道10分。朝がゆっくりになり、夕方もできることが増え、生活が劇的に楽になりました。
時間や休日
自分の生活状況に合わせて、働き方を考えます。
年間の休日数を決める要素として以下のような内容が挙げられます。

忘れたころにやってくる誕生日休暇。意外と嬉しいよ。
他にも、育児休暇や介護休暇をどのくらい取得している実績があるのかを確認しておくと、いざという時に役に立ちます。
福利厚生
職員寮や社宅の完備等、職場によってさまざま。事前に確認をする必要があります。
私が以前働いていた職場では、所有する旅館に格安で泊まれたり、スポーツジムの利用料金が半額になったこともありました。
組織形態や経営方針
病院としてリハビリスタッフに求める役割や経営としてリハビリ職に求める仕事の量は、働き方に影響する部分なので事前に確認しておくとよいです。
できれば、役割や働き方について、具体的な取り組みまで確認できると転職後の働き方がイメージしやすいです。
例えば、「質の高いリハビリテーションの提供」といった役割を実現する為に、研修会への参加を補助しているといったように、目標に対してどう対策を取っているかが大切です。
求人情報は多方面から収集する

私の場合、これから紹介するすべての方法を同時に行いました。
希望する転職先に出会う確率を高める為に、まずは選択肢をできるだけ広げて多くの情報を手に入れます。つぎに自分の優先順位と合う転職先に絞っていきます。

求人は山ほどあるけど、希望する条件の転職先って意外と少ないもんなんだね。
知人からの紹介
もしも、希望する転職先に知人がいる場合は、積極的に連絡をとってみましょう。
最大のメリットは職場の内部事情や雰囲気を直接聞くことができることです。また、事前に人事権のある方と話す機会があれば、内定までの流れもスムーズになる場合もあります。

1度目の転職は知人からのお誘いでした。形式的な面接で入職が決まったよ。
ただし、知人から情報収集する場合には注意点があります。それは個人から得られる情報には偏りがあるという点です。対策としては入職を決断する前に確認すべき内容を明確にし、しっかりと聞き取りをしておくことです。
施設ホームページ(直接問い合わせる)
どうしても転職したい場所が決まっている場合はこの方法がおススメです。
多くの場合、ホームページの項目に採用情報があり、直接問い合わせることができます。
採用情報が載っていなくても、採用担当者に直接連絡を取ることもできます。今は求人が出ていなくても、今後求人を出す見通しについて確認するのも手段の1つです。
ハローワーク
インターネットさえあれば求人情報を無料で登録なしで閲覧することができます。
厚生労働省が運営する施設で、全国に拠点があり、地域に密着した中小企業の求人が多く集まります。
注意する点として、国が運営する施設だからと言って、必ずしもホワイト企業が集まるわけではないという点です(企業側は掲載は無料で、ハローワークも公平性を保つために企業側からの掲載依頼を断ることができないため)。

自分の住んでいる地域で転職を考えるのであれば、1度は確認すべき。
転職サイト・エージェント
厳密に言うと転職サイトと転職エージェントは別ものですが、多くの企業の場合で両サービスが一体化しています。
サイトに登録して条件を提示することで、求人を閲覧できたり、担当者が希望の条件に合った求人を提示してくれます。
連絡のしつこさなど、いろいろな噂を聞きますが、しっかりと条件を提示することで、他の情報源からは得られない求人情報を得ることもできます。
うまく利用して情報をケットしましょう。
転職先候補へのアプローチでほしい情報をつかむ

転職先の候補が決まったら、いよいよ応募。
応募から内定までの流れはこんな感じです。

応募から内定までは2~3か月が目安です。
見学や面接はこちらが評価される場でもありますが、求人票ではわからない情報を得るチャンスでもあります。入職前と後のギャップをできるだけ少なくするために気になる点は積極的に確認していきましょう。
また、見学は職場によって実施の有無が決まっていません。もし先方からの提案がない場合は、こちらから申し出て、見学の日程を調整してもらいましょう。
このステップで押さえておきたいポイントは以下の点です。
直観は外れる
面接や見学で担当の方や上司になるであろう方とお話をしたり、施設やリハビリ室の雰囲気を見る機会があると思います。
その時に、リハビリ室や病棟の様子、働いている人の雰囲気を確認しておくことは1つの情報になります。ただ、注意しておきたいのは、「人が良さそう」とか「活気がある」といった直観を信じて転職先を決めることは危険だということです。
むしろ、そこで感じた直観が良いものであるほど、転職後に見えてくる現実とのギャップに苦しむことになるかもしれません。

思っていたのと違う。このままここで働き続けられるかな。
ではどうすれば良いのか。次の項目でお話します。
確認すべきはビジョンと具体的な手段
ズバリ、気になる内容は直接聞くことがもっとも効果的な方法です。

作業療法士としてのスキルアップを希望します。
Aさんの場合は以下のような内容を確認します。

残業が少ない職場への転職を希望しています。
などなど、気になる点はそれに対する考え方と、現時点での具体的な状況を確認しておくことで、入職後の働き方がイメージしやすくなります。
条件交渉は内定後が勝負

面接を受けてから、内定が確定するまでの流れはこんな感じです。

条件交渉のタイミングは、内定通知を受けてから内定を承諾までの間がベストです。
条件を交渉することで相手側にマイナスなイメージを与えてしまうかもしれないと感じられている方もいるかもしれませんが、「転職後のビジョンを具体的に持っている」とポジティブなイメージを持たれるという側面もあります。
転職後に望む形で働くためには、方法や項目を理解したうえで交渉に挑むことが大切です。
内定後に交渉ができる具体的な項目
交渉をできる内容として、具体的には以下のようなものがあります。
ちなみに私の場合は、交渉の結果、県士会の年会費を職場が補助してくれていました。
条件の交渉は、お互いの納得いく形をみつける作業
条件の交渉は対立ではなく、これから転職先でより良い形で、長く働くための意思表示にもなります。そんな意思をうまく伝えるためにはいくつかポイントがあります。
エージェントを上手に利用することで条件交渉はスムーズに
上記のような交渉は事前の情報収集と交渉時のテクニックが必要となります。個人では、なかなか良い条件を得ることが難しいと感じる方もいるかもしれません。
そんな時におススメなのが転職エージェントの利用です。業界ごとの事情を把握したうえで、転職先との交渉を代行してくれるため、とても心強い味方になってくれます。
退職の手続きは、お世話になった方々への思いやり

上司へ退職の意向を伝えるのは内定後

内定が決まる前に退職の意思を伝えないと、上司に失礼かな?
そんな不安を持っている方もいるのではないでしょうか。ただ、次の就職場所が決まっていない段階で転職の意思を申し出た際には、以下のような弊害があり、私自身も悩んだ経験があります。
- 転職すると言いながら、転職先が決まらなかったら焦る。
- 上司から引き留められる。
とくに2つ目の上司とのやり取りは、信頼のある上司であればあるほど、自分の中に葛藤が生じます。私も、以前転職する際に、意思は固まっていたものの、上司からの心配や残ってほしいとの話にどのように返答して良いかわからなかったことがあります。そういった時間はお互いにとって負担となる場合があります。
自分の意思と道筋を固めたうえで上司に報告することが、結果的にお互いにとって良い方法であると言えます。
業務の引継ぎは、期間に余裕をもって
任されていた業務を棚卸して、上司と相談しながら後任を決めていきましょう。十分に引継ぎができる期間を作ることで、後を任された方の不安や負担も軽くすることができます。

ぼくの場合、退職するまでの2か月の間は新規の患者さんは担当せずに、他のスタッフの代行をしていたよ。
他のスタッフや患者さんにできるだけ負担の少ないように配慮することが大切です。
書類関係の手続きは早めに準備
退職に当たり、勤務先から受け取る書類と提出する書類が種々あり、必要な書類は総務や人事担当部署が把握しています。
何より大切なのは、上司から退職の同意が得られたら、できるだけ早く総務などの関係部署に報告しておくことです。
そうすることで、お互いに余裕を持ったスケジュールで書類の準備や手続きができるようになります。
まとめ

転職活動を網羅的に解説してきました。
転職活動は誰に言われたわけではなく、自分の意思でするものです。だからこそ、望む形で転職してもらいたいし、これまでのキャリアが途絶えることなく、あなたや周りの人の人生をより豊かにする経験となれば幸いです。
あなたの行動や想いに一貫性があれば、周囲の方からの応援や励ましも自然と受けられるはず!

最後まで読んでくれてありがとう!
あなたの転職活動が豊かな経験の土台となることを心から願っています。

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